厚生労働省は、これまでの個室におけるホテルコストと同様、特別養護老人ホームの相部屋に入っている一定の所得のある高齢者に対し、月額1万5千円程度の利用料負担を課す方向性を示しました。
賛成とも、反対ともいい難いところですね。
賛成の理由としては、これまでが安すぎたのでは、という思いと、老親の扶養という点では、家族がもっと仕送りのような形であろうとなかろうと、もっと負担すべであると考えているからです。家族への責任を強化するわけではありませんが、経済的な面で親の面倒をみないくせに、相続分だけはしっかり頂戴するというのは、愛情のある家族員が貧乏くじをひく、つまり正直者がバカをみる、を地で行くようなものです。
反対の理由としては、財源がないからということは分かりますが、そもそも介護保険制度が応益負担主義で実施されてきていたものを、ある部分には応能負担を採ることの整合性が合わず、同じサービス、いや、ほとんど手間のかからない高齢者でありながら、所得が一定程度あるからという理由で、一方的に自己負担を強化されることは、支払う者にとって納得のいくものではありません。
このあたりについては、11月4日にホームページの新着情報で、「今後の社会保障政策における一考察 ~制度の持続可能性を図るうえでの「待つ」という考え方~」という研究ノートをアップさせますので、一度ご覧になっていただければと思うのですが。
これからより自己負担が強いられる時代になると思われますが、そのことが単なる財源だけの問題ではなく、意識や認識の部分も多いように思えてなりません。