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烏野猛

Author:烏野猛
介護事故裁判やリスクマネジメントの講演には定評があり、これからの社会保障や、社会福祉をめぐる「年金」「医療」「介護」の将来予測については、全国からの講演依頼があとを絶たない若手研究者。
2000年の介護保険制度導入後、介護業界での規制緩和に対抗するスタイルで福祉リスクマネジメント研究所を設立。「社会保障法」「社会福祉法制」の専門家であり、「福祉・介護」と「法律」の両方がわかる研究者。

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どうも腑に落ちない…

相模原市の障害者施設で起きた凄惨な事件については、すでに語りつくされている部分と、これから明らかになる部分とがあるように思いますが、腑に落ちないのは、亡くなった19人の障害者については、遺族からの強い意向により氏名を公開していない点です。

今回の事件は、なにも障害者施設だけの問題ではなく、犯人である元職員が、高齢者に対しても侮蔑的な発言をネットでも公開していることから、特別養護老人ホーム等の老人ホームで起きてもおかしくはない出来事です。

過去にも老人ホーム等で事故があった場合、たしか死亡者の氏名は公表されていたように思います。

今回の障害者施設では、重複障害、つまり統合失調症含めた精神障害が含まれていることから、遺族は頑なに氏名の公表を拒否しているんだと考えられます。

周りからすれば、氏名を公表されない障害者は、犯人が「この世の中に必要がない人」として評価した思想と同様、どこにも存在せず、税金だけがふんだんに投入された存在、となってしまうわけです。

ここ数年の研究対象でもある、「責任無能力者と家族、施設の責任」について言うなら、施設に預けられている障害者は、いまの障害者をめぐる施策上、そのほとんどが税金で賄われているわけです。つまり、支払うという意味においての責任の所在で言えば、家族の責任はほぼないに等しいといって過言ではないわけです。

このような状況といいますか、環境にあって、被害者の氏名が公開されない、ということは、誰もが最初からいなかったかのような存在として考えているようにしか思えない…。とくに家族にとっては…。

そうなると、犯人が主張した、精神障害者を含めた知的障害者らが、「この世の中に必要のない存在」に共感し、また彼の考え方を正当化する発想の芽が生まれることが、一番避けたかった、また最も避けるべき考え方なわけです。

私が腑に落ちない、このことが、杞憂であり、さらっとスルーされるようであればいいのですが…。