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烏野猛

Author:烏野猛
介護事故裁判やリスクマネジメントの講演には定評があり、これからの社会保障や、社会福祉をめぐる「年金」「医療」「介護」の将来予測については、全国からの講演依頼があとを絶たない若手研究者。
2000年の介護保険制度導入後、介護業界での規制緩和に対抗するスタイルで福祉リスクマネジメント研究所を設立。「社会保障法」「社会福祉法制」の専門家であり、「福祉・介護」と「法律」の両方がわかる研究者。

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7分前かよ…、でも、それはないよ…

こんなタイトルしか浮かばなかったのでごめんなさい。

大川小学校の判決が、昨日、仙台地方裁判所で下りました。
争点につきましては、前回のブログにも載せたところですから割愛しますが、裁判所は、「教員らは津波襲来の7分前には危険性を具体的に予見したのに、安全な裏山ではなく不適当な場所へ避難しようとした。」と指摘し、学校側に過失があることを認める審判を下しました。

学校側、つまり教員の行動に非があったとした前例によって、学校だけではなく施設関係においても便乗的に裁判が引き起こされそうなきらいはありますが、この判決の他に与える影響はともかくとして、「7分前には津波が来ることが分かっていた…」という裁判官のジャッジは、「その気になれば裏山まで走って1分」という前提から無理やり導き出されたような気がしてなりません。
ただ、今回の裁判で一番解せなかったことは、テレビ報道で、弁護士なのか遺族なのか分かりませんが、「学校、先生を断罪!!!」という垂れ幕をかかげ続けていたことです。

「学校を断罪」なら、ともかくとして、「先生を断罪」とは、筋違いです。「先生たちがいなかったら、子どもらは助かっていた」という主張もあったようですが、個人である先生が断罪されることはありません。
つまり、学校と生徒、保護者との契約はなかなか難しく、在学契約(就学契約)になると思われますが、いずれにせよ契約の当事者は、生徒もしくはその保護者と学校(校長か、教育委員会含めた行政機関)との契約であり、先生個人と児童やその保護者との契約ではないからです。

あくまでも教員個人は、履行補助者としての役割にしか過ぎないわけです。
これは高齢者施設等でも同じこと。契約者は利用者個人と、法人の理事長、株式であれば代表取締役社長との間で締結される契約なわけです。なので、職員がうっかりして利用者を転倒させてしまったというような介護事故が発生したとしても、職員は理事長や社長の代わりにという位置づけの履行補助者なわけですから、職員個人が責任を問われることは一切ありえません。それと同じです。

誰か、悪者をつくりたくなるような気持ちは十分に分かりますが、メディアでも、これはダメでしょう。