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烏野猛

Author:烏野猛
介護事故裁判やリスクマネジメントの講演には定評があり、これからの社会保障や、社会福祉をめぐる「年金」「医療」「介護」の将来予測については、全国からの講演依頼があとを絶たない若手研究者。
2000年の介護保険制度導入後、介護業界での規制緩和に対抗するスタイルで福祉リスクマネジメント研究所を設立。「社会保障法」「社会福祉法制」の専門家であり、「福祉・介護」と「法律」の両方がわかる研究者。

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すべては結果論…

数日前、栃木県那須町のスキー場で発生した雪崩によって、教員を含め多くの高校生が亡くなりました。
ご冥福をお祈り致します。

報道によると、責任者であった教員らは、当日の気象状況から、雪崩の危険性は予知できなかった、と考えていたようです。
きっとそうでしょうね。

雪崩というのも、災害リスクの一つであります。私も以前から、水害と雪害は、予見できる災害として備えを十分に、とお話をしてきました。では、今回の雪崩、予測できたか…、と言われれば、水害よりも予測は難しい、と言わざるを得ません。

介護事故についても、同じ事を話してきましたが、介護事故の原因、または大規模災害時の判断、それらは基本的には結果論で、下手をすると「それ見た事か。なぜそんな行動をしたのか…!!!」とひどく叱責されるわけです。

同じ行動でも、上手いけば武勇伝となる場合もありますが、「できて当たり前…、何もなくて当然…」という見方もされるわけですから、誰からも褒められない場合も多いでしょう。

同じ行動でもここまでの違いがあるわけです。すべては結果論で、外野である第三者は後付けで「なぜ、なぜ」と誰かに責任を負わせたくなる。とくに自然災害の場合には、加害者という存在がいないものですから、誰かの責任にしたくなる心理が働きます。

そうなると、これから雪山登山は中止もしくは廃止となるでしょうし、絶対的な安全が確保されなければ訓練が実施できない状況となります。しかし、絶対的な安全等あるわけがなく、たとえあったとしても、そんな訓練は訓練の意味もない訓練になってしまうわけです。

介護現場でも同じことです。ほぼすべてお年寄りには転倒・転落、誤嚥のリスクがあります。そのリスクのあるお年寄りに、より積極的な自立支援に向けた介護を行おうとすればするほど、最悪の結果も発生する確率が高くなるわけです。リスクを回避するには、リスキーなお年寄りの担当を断り、リハビリ等も避け、ほぼ寝たきり(寝かせきり)にする介護であれば、転倒・転落のリスクは回避でき、そして胃ロウを増設すれば誤嚥によるリスクも回避できます。

責任をとらない働き方は可能ですが、それでは仕事といえないわけです。

積極的な行動を起こすことで、悪い結果となった場合、その結果を誰かの責任だけにしてしまうことは簡単ですが、成長や発展はなくなり、市中引き回しのうえ磔獄門となった当時の担当者をみて、責任を負うこと担当になることが恐怖と感じるようになるわけですから、「-何かあった場合、誰が責任を取るんですか?、-面倒くさいことは、もうするの止めましょう。」となっていくわけです…。

肝心な点は、リスクをゼロにする、なくす、という視点ではなく、どこまでのリスクなら背負うことができるのか、という発想です。

そのための備えなんです。