ちょうど一週間ほど前に、厚生労働省が各都道府県の民生部に対し、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の公布について、事務連絡を行いました。
これによると、「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律」のうち、介護福祉士の資格取得方法の見直し関係の施行日が、2012年4月1日から2015年4月1日に延期されることとなった。
一時期、介護福祉士を養成している専門学校や、短期大学で介護福祉士の国家試験受験制度に猛反対していた時期がありました。
つまり、現在でもそうなんですが、専門学校や短期大学では、2年間しかるべき授業を受け、実習を行えば、「グリコのおまけ」のように試験を受けなくても国家資格がもれなくついてくる、という制度を、看護師の資格のように全員国家試験をうけて合格した者だけが国家資格者として名乗れるようにする、という制度に切り替えると言う内容です。
当初、2012年度からの見直しが、3年間延びた事になりますが、私は10年以上前から介護福祉士は国家試験を受けて合格したものを有資格者とするよう力説してきました。
当時「介護の専門性なんて、一体どこにあるのか?」という問いかけに対して、研究者たちは必死になって専門性を説いてきました。説かなければ、自分たちの存在価値さえ危うい状況に置かれてしまうと思っていたからだと考えられます。
しかし、一方の現場では、医療と介護の連携と言いながらも、また実質的に求められながらも、3年の勉学期間に国家試験を受けなければならない看護師と、2年間でグリコのおまけ型でとれる介護福祉士との連携なんて、看護師側からみればちゃんちゃらおかしな話でした。
介護福祉士の職能団体の方でも、単なる「グリコのおまけ」と言われるのを避けるために、自主的に統一した認定試験なるものを導入しましたが、まったく意味がなく、オナニスト的なものだったと私は思っています。
また国家試験を受けて通った介護福祉士も、グリコのおまけ型介護福祉士に足を引っ張られる形で、専門性の論議より前に、数年前の介護人材の枯渇によって、「何でもいいから介護福祉士を」という雰囲気に飲みこまれてしまい、論議が不十分になった状況があります。
一番の問題というか、しょうもない道理なんですが、介護福祉士が国家試験受験化されてしまうと、合格率から順位化される専門学校や短期大学のなかで、生き残れない学校が生まれるだろうという発想から、ギルド的に保身政策に走ったと言うのが団体の本音でしょうね。
ですが、今の介護は、介護保険制度の影響もさることながら、認知症等の介護にしても勉強し知識と技術を身につけなければいけないレベルに来ていますから、「家庭の素人でもできる介護」ではなくなってきていることは事実です。
そういった現状の中で、介護福祉士が国家試験化されることは時代に沿ったことと思いますし、そのことで一時から雨の後のタケノコのように猫も杓子も介護福祉士養成学校を建てまくったことへの淘汰がおこるのも、「介護の質を高める」という視点から、至極当然のことと思っています。
以下変更点を列挙すると次のようになります。
【養成施設卒業者】
「2015年度の卒業者からは、介護福祉士国家試験を受験し、合格しなければ、介護福祉士の資格が取得できない。なお、「准介護福祉士」については、あくまでの暫定的な資格であり、今後廃止することが想定されている。
【介護実務経験者】
2015年度の国家試験受験者からは、3年以上の実務経験に加えて、「実務者研修」の受講が必要となる。なお、実務者研修は2012年度から開始される予定で、通信教育により少しずつ学習を進めることもできるなど、働きながらでも受けやすい研修とする。
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